待機ゼロ

待機ゼロ。

当たり前のように続いている。

資格も学歴も無いただのおばさんの私。

それなのにありがたい。

予約が入りすぎて断っている。

断っても怒る常連はいない。

断ると次回予約を入れてくれる。

優しい常連ばかりだ。

私がシングルマザーで仕事をしていると知っている。

子供を優先していると。

体調で仕事を急遽休んでしまう事もあると。

理解してくれている常連。

ありがたい。

数時間と長く予約を入れてくれる常連も多い。

一日予約も多々ある。

特別な話は出来ない。

普通のおばさんだから。

それでもいいと言ってくれる。

普通がいいあなただからいいと。

今までの人生でそんな事を言われた事は無かった。

家族以外から必要とされる事なんてなかった。

誰かに必要とされたいと願っていた。

自分の存在価値を感じたかった。

しかし何も出来ないし出来る事がなかったから。

必要とされた事は無かった。

学生時代何かをお願いされる事も無い。

何も出来ないからお願いされる訳が無い。

部活もしておらず勉強もあまり出来ず。

人から頼りにされた事も無い。

私はこれが出来ると。

自慢できるものなんてなかった。

だから自分に自信なんてない。

楽な道ばかりを選んできた人生。

今は自信を持って言える。

やりたい仕事をして好きな生活が出来ていると。

この年になりようやく言えるようになった。

常連にも良くその話をする。

昔は何もない人生だったと。

待機も長く待機地獄で絶望していたと。

皆驚く冗談かと言われる事もある。

いつも繋がり予約も中々取れない。

ずっとこうだと思っていたと。

昔から人気者だったのではないかと。

そんな事は無い。

常連に話をする。

今までの私の人生これからの人生。

話は苦手ではないが得意では無い。

上手に話せる自信なんてない。

ただ相手の目線に合わせて話をするようにしている。

みゆきママから教えてもらったように。

話しをするし聞く。

子供と話す時も同じように。

自分本位にならないように。

待機地獄だった昔。

何をどうすればいいかわからなかった。

おばさんだからダメなのか。

絶望して苦しかった日々。

そんな私を救ってくれたみゆきママ。

泥沼の生活から引き揚げてくれた。

めんどくさい私のようなおばさんに優しく教えてくれた。

いつのまにか予約が入るようになっていた。

予約が断るぐらい入るようになっていた。

気付いたら待機ゼロになっていた。

まさか私が。

憧れていた人達の中に入れるなんて。

想像した事も無かった。

子供の為にがむしゃらに頑張った。

それを見ていてくれる人達がいた。

常連に支えられている。

感謝。