メロンパンが食べたい。
子供からのリクエスト。
毎朝パンを焼いている。
タワーマンションの住人とパン教室に通っているおかげで本格的なパンが焼ける。
子供からのリクエストは嬉しい。
パン屋さんのパンよりお母さんが焼くパンが美味しい。
そういいながら食べる子供の姿が愛らしい。
パンを焼き実家にもよく持っていく。
子供も両親もパンが好きだ。
以前はパンを買っていたが今はほとんど買う事は無い。
美味しいパンを食べるのが好きだから作る。
という理由もあるがパンを作ること自体がいい。
パンをこねている時間は無心になれる。
パンをこねえ成型をする。
一見地味な作業だが私は気に入っている。
ベンチタイムや発酵の時間も苦にならない。
パンが膨らむのを楽しみに待てる。
読書をしたりコーヒーを飲んだり。
どう膨らむかを想像しながら待つ時間もいい。
こんなにパン作りにはまるとは思わなかった。
大人になって習い事をするなんて。
パン教室に通うまでは趣味なんてなかった。
ある程度の料理は出来る。
しかし料理が好きというわけではない。
ただ単に作っていただけだった。
タワーマンションの住人とパン教室に通い始めて食への考え方が変わった。
子供や両親にいい物を食べさせたいと。
美味しい物を食べて欲しい。
そう思うようになった。
食べる物は変わり食べに行く場所も変わった。
自分で作る時は材料からこだわるようになった。
何気なく作っていた料理にひと手間加えるのが楽しみになった。
パン教室ではパン以外も習っている。
焼き菓子に他のお菓子。
世界の料理。
おかげで色々な料理が作れるようになった。
毎朝焼き立てのパンを出せる事が嬉しい。
子供からのリクエストを受けれる事も母親として嬉しい。
子供がリクエストしたメロンパン。
プレーンにチョコチップに抹茶。
三種類のメロンパンを焼いた。
広いリビングにパンのいい香りが広がる。
メロンパンの中には手作りのカスタードクリームを入れた。
美味しい美味しいと食べる子供。
その姿が愛らしい。
お母さんが作ったパンが一番美味しいと。
メロンパンを実家にも持って行った。
両親はパンが好きだ。
両親は高齢だがよく食べる。
両親と三人でパンを食べながら話をする時間。
美味しいと食べてくれる姿が嬉しい。
お金が無かった頃はいつも時間が無かった。
両親に会いに行きたくても派遣の仕事は休めない。
仕事を休んだ分給料が下がる。
葛藤する毎日だった。
親孝行したいのに時間もお金もない。
そんな自分が惨めで苦しかった。
両親にしてもらっている事は多いのに私は何も出来ていない。
いつも自分を責めていた。
お金と時間に余裕がある今。
両親に親孝行する事が出来る。
時間も余裕もある。
買い物に付き合ったり話をしに行ったり。
慌てたり追われる事が無い生活。
またパンを焼いて実家に持って行こう。
両親と穏やかに過ごす時間も親孝行の一つだ。