昔は待機ばかりだった。
常連にそう言うと冗談だよねと。
信じられないらしい。
断る程予約が入る。
学歴も無い資格もない。
ただのおばさん。
人に自慢するものはない。
普通のおばさんの私。
予約が多すぎて断ることが多い日々。
一人の時間が長い為一日数名の予約。
一日一人予約の時もある。
朝から夕方まで予約。
だから大人数を受ける事が出来ない。
来月の予約も入りだしている。
何の取り柄も無い私に。
予約が多すぎて断る事も多々ある。
それでも怒る常連はいない。
私がシングルマザーという事を知っている。
子供を優先している事を。
母親としての役割を大事にしている事も。
理解してくれる常連ばかりだ。
ありがたい。
あなたはそのままでいい。
そう言われる。
待機地獄だった昔。
背伸びをして無理をしていた。
何をしても上手く行かなかった。
おばさんだからダメなのか。
若くないからダメなのか。
どうすればいいのかわからない。
誰も助けてくれない絶望感。
諦められ見放され。
自分でも自分を諦めそうになっていた。
以前の私だったら諦めていただろう。
でも子供の為に諦める訳にはいかない。
必死にもがいた。
自分なりに努力をした。
それでも結果は何もか変わらなかった。
来るのは冷やかしばかり。
私がおばさんだからか。
学歴や特技がないからか。
人と比べて自慢出来る物が無いからダメなのか。
自分を責めた。
それでもどうしようもない。
子供の為に頑張りたいと始めたのに。
みゆきママとの出会いが人生を変えた。
人生で初めてがむしゃらに頑張った。
気が付くと常連が出来ていた。
いつの間にか予約が入るようになった。
昔の話しを常連にすると信じてもらえない。
こんなに予約が取れない人が待機ばかりだったなんてと。
その時なぜ気付かなかったのかと。
そう言われる。
私はその他大勢の中に埋もれていた。
自分を諦め未来を閉ざしていた。
しかし子供の為に諦めなかった。
子供にいい生活をさせていあげたい。
苦しかった過去があるから今感謝が出来る。
普通のおばさんを選んでくれてありがとう。
心からお礼が言える。
支えてくれる人達に感謝。